酒井研究室  Sakai Laboratory [ JP | EN ]
T R A N S C E N D I N G    M I N D     - Department of Mechano-Informatics, The University of Tokyo
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最終更新日 : 2004年5月30日 (Sun)

研究室の目指すもの  Our Mission

当研究室では、"Transcending Mind" ― すなわち、技術によって人間の心の境界線を 押し広げる、というテーマのもとに複数のプロジェクトを進めています。 プロジェクトは大きく二つの系列に分かれます。

  • T-シリーズ ― バーチャルリアリティによる知覚・認知の拡張に関する基盤研究
  • P-Σ シリーズ ― 対話AIに「身体」を与えるための研究 (Pseudo-Human Project)

これらは独立した研究に見えますが、実は一本の問いを共有しています。
    ―― 何をもって人は「これは現実だ」と感じるのか?
この問いに、人間側 (T系) と非人間側 (P系) の両方からアプローチすることが、 私たちのアイデンティティです。

Project T-01 : 高没入型HMDの研究

PROJECT NO. T-01
超広視野HMDによる没入感の定量化

人間の視野は左右約200度、上下約130度の範囲を持ちますが、市販のHMDの大半は 水平60度程度しかカバーしません。当プロジェクトでは独自設計の超広視野HMD 「SK-HMD/v3」を試作し、視野角と没入感の関係を心理物理学的に測定しています。

KEYWORDS : HMD, 視野角, presence, immersion

Project T-02 : 嗅覚VR

PROJECT NO. T-02
マイクロ流体デバイスを用いた嗅覚提示

仮想空間における「匂い」は、最も実装が遅れているモダリティの一つです。 本プロジェクトでは、半導体エッチング技術を応用したマイクロ流体デバイスにより、 最大32種の匂い物質を瞬時に切り替え提示する装置を開発しています。

KEYWORDS : olfactory display, MEMS, multimodal VR

Project T-03 : 前庭感覚と仮想運動

PROJECT NO. T-03
電気的前庭刺激 (GVS) による仮想移動感覚

耳の後ろの皮膚電極から微弱な電気刺激を与えることで、被験者に「傾いた」「動いた」 という感覚を誘起できます。本プロジェクトではこれをVR映像と同期させ、 小さな部屋にいながら無限の空間移動を体験可能にする研究を行っています。

KEYWORDS : galvanic vestibular stimulation, locomotion

Project T-04 : 自己像の歪み

PROJECT NO. T-04
VRアバターを介した自己身体像の可塑性

ミラーを覗き込むと、見慣れぬ姿の自分が映っている ―― 「これは私だ」と 脳が受け入れるまでに必要な条件は何か。本プロジェクトでは、性別・年齢・ 種族の異なるアバターへの「乗り移り」体験を通じて、身体所有感の限界を 探求しています。

KEYWORDS : body ownership, avatar, self

Project P-Σ : Pseudo-Human Project

PROJECT NO. P - Σ   (2003-)
対話AIに身体を与える ― Pseudo-Human の実現

VRがどれほど精緻になっても、その中で出会う「他者」が空虚な人形であれば、 没入感は崩れます。対話AIに身体性 (embodiment) を与え、人間と区別がつかない 存在を作る ―― それが Pseudo-Human プロジェクトです。

Phase 1 : 仮想存在としての Pseudo-Human (2003-)

まずはVR空間内で、長時間対話しても破綻しない人格モデルを構築します。 自伝的記憶、感情モデル、関係性の蓄積を備えた対話エージェント「Σ-01」が 現在試験運用中です。

Phase 2 : 半物理身体への展開 (2005-予定)

高精細な表情ロボット (アンドロイド) のプロトタイプを共同で開発し、 Σ-01 の人格モデルを実装することを計画しています。

Phase 3 : 区別不能性の検証 (将来)

「これは人間か、それとも作られた存在か」 ―― 第三者が判断できない閾値を 科学的に測定することを最終目標とします。

KEYWORDS : embodied agent, dialogue, autobiographical memory, indistinguishability

※ 本プロジェクトは社会的影響が大きいため、東京大学倫理審査委員会との継続的な 協議のもと、段階的に進めています。研究の詳細・進捗の一部は非公開です。

将来構想  Future Direction

T-シリーズとP-Σシリーズは、いずれ統合されます。完璧な没入空間の中に、 完璧な人格を持つ存在が居る ―― そのとき、私たちは「現実」と呼ぶべきものが ただ一つではなくなることに気づくでしょう。
当研究室は、その日のための地ならしを行っています。

■ Coming Soon ■   統合プロジェクト構想 "Project Ω" のページを準備中です ■